「……好きよ。だけど、それは特別な感情だから。

恋愛の“好き”とも、兄妹の“好き”とも違う…どれにも分別出来ないものかな」



秋への想いは、幻のようで永遠になくならない尊いもの。

だけど──。



「今の私にはもっと大事にしたいものが出来たの。
…ショージさんのおかげで」



彼がふっと顔を上げた。

綺麗に澄んだ瞳が、私をじっと見つめる。



私は、これからはこの人を見つめて歩いていきたいけれど──。



「でも、愛斗以外に大事なものが出来ることが…少し怖かったりもするの」


「……何で?」


「私がこんな女だからよ」



そう呟いて自嘲気味に短く笑うと、ショージさんは少し眉根を寄せた。