『マナトくんの面倒を見るって言ったのも、誰よりもなっちゃんのことを心配してたからだよ。

それに…“不純な動機かもしれないけど、そうすることで夏芽の傍にいられるから”って言ってた』



──秋……



“夏芽の子ってことは、この子にも俺の血がほんの少しだけど流れてるってことなんだよな”


優しい目をしてそう言った秋は、あの時どんな気持ちだったのだろう──。



『ぅ……秋…っ!!』



偶然なのか、薬指にぴたりと嵌まったルビーの指輪に涙がこぼれ落ちた。


お互いに知ることも、明かすこともなかった密かな恋心を知って、

私はようやく泣けたんだ。



隠された想いを知ったその時が、秋の死を受け入れた瞬間だったから──。