その頃の私は、むやみに誰かと付き合うのにも疲れて、しばらくずっと一人だった。


…だけど、秋と二人の生活は幸せだったけれど辛かった。


決して報われない恋心を抱きながら、その想いを伝えることも出来ずに彼の一番近くにいるのは──。



愛斗の父親である彼もまた、奥さんとの関係がうまくいかずに心の拠り所を求めていた。


満たされない私達。


そんな私達が付き合うようになったのはごく自然なことのように思えた。



私は奥さんから彼を奪いたかったわけでも、彼の家族の幸せを壊そうとしたわけでもない。


だからメールも電話もせず、絶対にバレないようにと気を遣って付き合っていた

……はず、だったのに。