「愛斗の父親は、その時私が働いてた飲食店の常連客。
でも…その人は妻子持ちだった」



私の言葉に、またショージさんの動きが止まった。



「不倫相手だったの、私」




私より8歳年上だった彼は、とても優しくて頼りがいのある大人の男性だった。


サラリーマンのおじさんばかりが来ていた定食屋だったけれど、彼だけはその容姿と若さで目立っていたのを覚えてる。



彼とよく話すようになって、私を食事に誘ってくれた時に妻子持ちだということは聞いていた。


『それでも君に惹かれてしまったんだ』


と、困ったような笑みを浮かべつつストレートに言われて驚いたっけ。