『誕生日のプレゼント、何か欲しいものある?』


『んー…ルビーの指輪…とか?』



高校二年の冬、秋に聞かれた私は母がよく口ずさんでいた一昔前のあの有名な歌に掛けて、冗談混じりに言ってみた。

私も“誕生石ならルビーなの”だ。



『好きな人からプレゼントされたら嬉しいな』


…なんて言いながら、私の目線はしっかり秋を捉えていた。



彼はふっと優しい笑みを浮かべると、いつものように頭を撫でながら


『そうだな。もっと大人になったら、夏芽が一番好きな人から貰えよ』


…そう言ったのだった。



ほんの少し……

ほんの少しだけ、浅はかな私は『じゃあ俺がプレゼントしてやるな』なんて、甘い言葉を期待してたのかもしれない。


──秋は、私を妹以外の何者にも思っていなかったというのに。