母子家庭となって、小さなアパートで新たな生活を始めた私達。


父や祖父達と会うことはもうないし、親戚は遠くで暮らす母の両親くらいだったけれど、
そんな細々とした生活でも私は幸せだった。



──ただ、一つだけ新たな問題が生まれていた。

きっと、私以外に気付くことはなかったと思う。



それは、私の中で次第に色濃くなっていく“違和感”。



少しずつ大人に近付いて、ますます魅力的な男性になっていく秋を見る度に、私の心臓がドキンと跳ねる。


頭を撫でられただけで、少し触れられただけでその部分が、心が熱くなる。


秋が女の子と話している姿を見ると、胸がギュッと苦しくなる。



──秋を兄として見れない……