まさか本当に、秋以外の人に心を奪われることになるとは思わなかった。


だけど、さっきの電話で私は改めて気付かされてしまったんだ。


ショージさんが、私にとって大きな存在になっているということに──。





『知的障害者が行方不明に──』


三年前の真冬のある日、秋はショージさんと同じことを言って家を出ていった。



秋は市役所の“危機管理課”という部署に勤めていて、そこへ行方不明者の一報が入ったらしかった。


まだ若い、知的障害者の男の子の情報が。



危機管理課では認知症の高齢者や障害者が行方不明になった際、捜索して保護するように動くチームを立ち上げていて、秋もその一員だったのだ。