虫を退治した時のように、マナトくんが笑う横で俺は面白くてしばらく藤咲さんをからかっていた。


結局彼女に根負けして、健全なコーヒーカップに乗ることに。


自分が小人になったように感じる、くるくる回る大きなカップへ向かって歩いていた時──



「パパ~、次あれ乗ろー!?」


「よーし、じゃあ行くか!」



俺達の前を、マナトくんと同じくらいの男の子を肩車して歩く男性が通り過ぎていった。


その後ろから微笑ましげに笑う母親らしき女性がついていく。


…幸せな家族の象徴のような光景だった。



自然と会話が途切れる。


今のを見て、マナトくんはどう思っただろう……。