「一番近くの遊園地なら日帰りで全然大丈夫だよ。
俺が運転してあげるから、それなら藤咲さんもラクでしょ?」


「そ、そうだけど…!」


「マナトくんは?どうしたい?」



ショージさんは私から愛斗に視線を移して優しく問い掛ける。


愛斗は私と彼を交互に見た後、

「……行きたい」

と遠慮がちに答えた。



ショージさんは頷いて愛斗の頭を撫でると、立ち上がって私に向き直る。



「藤咲さんは?俺が一緒じゃ嫌?」


「……!」



──強引だなぁ、なんて思ったけれど。


まっすぐに私を見つめる瞳と耳に響く心地好い声は、自然と私の首を横に振らせていて。



「じゃあ、決定ね」



彼は夕日に染まる朱い瞳を細めて、穏やかに微笑んだ。