何も言えない私は、一人でリフティングをしようとする愛斗をただ見つめていた。


ショージさんは足を組んで身体の後ろに手をついた格好で、同じように愛斗を眺める。



「俺らみたいに関わったりしてなければ、奇異の目で見る人の方が多いと思う。
皆やっぱり普通とは違うから」



ショージさんは汗で張り付いた髪の毛を軽く振り払って、爽やかな笑顔を見せた。



「だけど、大事なのは理解しようとする気持ちで、藤咲さんはちゃんとそれを持ってくれてると思うから。
それでいいんですよ」



“大事なのは理解しようとする気持ち”……


その言葉で、心が少し軽くなった気がした。