「…どうしたんだ?俺…」



片手でくしゃっと髪の毛を掻き上げるようにして頭を抱える。


この不快さの正体が何なのかわからない。



…ふと思い出して左手を開くと、そこにはさっきマナトくんに持たされたカエルがいた。


それを見ると自然と顔が綻ぶ。



──『また遊んでやってください』


あの言葉も…
藤咲さんに受け入れられたような気がして嬉しかった。



とりあえず難しいことを考えるのはやめよう。

今日は確かに楽しかったのだからそれでいいじゃないか。


そう思うことにして、俺はそのカエルを棚の上にそっと置いた。




──燃えるように暑い夏の到来は、もうすぐそこに迫っている。