初めて部屋の中まで上がった俺は、なんだかよくわからない感動を覚えていた。
暖色系で統一された、綺麗に片付いた部屋。
レトロな雰囲気の、可愛らしくてお洒落な家具は藤咲さんのセンスの良さを感じる。
そして丁寧に飾られた、写真やマナトくんが描いたらしい絵の数々。
同じ部屋なのに全く雰囲気が違うのは当然なのだけれど、それでも不思議と居心地の良さを感じた。
「すぐ用意するから、マナと遊んで待っててください」
「あ、はい。すいません…」
何故か謝る俺にふふっと笑いつつ藤咲さんはキッチンへ向かい、長い髪の毛を後ろで一つに緩くまとめて作業を始めた。