「こんなとこで騒がれると近所迷惑なのよ。それくらい常識でしょう?

相手にされないならいつまでも纏わり付いてないで、潔くさっさと帰りなさい!!」



…と、見事なトドメを刺したのだった。



ミナは涙目になりながら唇をギュッと噛み締める。


そして悔しそうに藤咲さんと俺を睨みつけると、踵を返してもう何も言わずに階段を駆け降りていった。



やっと帰った……とホッとしたのも束の間、くるりと振り返った藤咲さんが今度は俺を睨みつける。


もう彼女の顔には、たんぽぽのような優しい笑みは見られず…

鋭いトゲを露にした薔薇のような雰囲気に変わっていた。



──この直後、俺は彼女の性格を少し誤解していたと気付くことになる。