抑えきれない怒りで、俺の顔はみるみる険しくなっていく。



「お前な……!」


「マナ、お部屋に行ってなさい」



無理やりミナの腕を振り払ったのと同時に、藤咲さんがマナトくんに目線を落として抑揚のない声でそう言った。


ポカンと俺達を見上げていたマナトくんは、訳もわからない様子のまま頷いて部屋へ入っていった。



それを見届けた藤咲さんは静かに足を踏み出し、俺とミナの間に割って入る。


ミナは少し後ずさりして、重そうな睫毛に縁取られた目で威嚇するように藤咲さんを見た。



「な、何よ」



動揺するミナとは反対に、藤咲さんは全く動じずこう言い放った。