夕闇を切り裂くような、よく通る澄んだ声が響き渡る。


振り返ると、凛とした一輪の花のような彼女が、マナトくんの手を取って立っていた。



「──藤咲さん…!」


「こんばんは」



一瞬ものすごく冷たい表情に見えたが、すぐににこりと微笑んで挨拶をした。



「叶…、誰?この人…」



ミナは不思議そうな顔をして、俺と藤咲さんを交互に見る。


腕を振りほどくのも忘れて立ち尽くしていると、藤咲さんは微笑んだまま俺達に近付く。


そして、色気のある形の良い唇が動いた。



「悪いですけど、痴話喧嘩なら余所でやってくれません?」