ふいに覆いかぶさっていた身体を退けると、亜優は不思議そうな顔で俺を見る。
「……叶?」
「……萎えた」
色々と考え出してしまうとなんだか虚しくなる一方で、急激に熱が冷めていった。
本来は愛し合う二人がする行為なのに、俺達の間には快楽以外の何も生まれない。
こんなことをするくらいなら、一人で処理していた方がまだマシだ。
ベッドから降りると上半身裸のまま冷蔵庫へ向かい、いつもの缶ビールを取り出した。
喉は潤うけれど、今日は全く美味しく感じない。
亜優は毛布に包まったまま枕に顔を埋め、「変なの…」と言ってけだるげな俺を眺めていた。