「いや、お隣りさんは……」



誤解を解こうとした瞬間、スッと白い手が伸びてきて俺の目の前にコーヒーが入ったマグカップを置かれた。



「お隣りさん、美人なの?」



目線を上げてその手と声の主を見上げると…

ニコッとエンジェルスマイルを浮かべる亜優がいた。



「はい、武田さんもどうぞ」


「おー!サンキュ、亜優ちゃん。
そうなんだよ、はかなげで清楚な美人なんだってさ」


「へぇ~!その人と付き合えたらいいね、東海林サン♪」



俺にそんな気がないことを知ってるくせに、このコは…。



「あー…そう、だね…」



わざとらしい笑顔を向ける亜優に、俺もぎこちなく微笑み返した。