「マナ、おいで」
桶に水を汲んだ私は、少し離れた場所で雪遊びをしている愛斗(マナト)を呼んだ。
おいでおいでと手招きすると、愛斗はにっこり笑って何かを手に乗せ、テテテッと走ってくる。
「お母さん見てー!」
「わぁ、カワイイ雪だるま!上手に出来たね」
「うん!」
私と手袋をした小さな左手を繋いだ愛斗は、手乗りサイズの雪だるまを右手に持ったまま歩きだした。
二人で“ゆきやこんこん”と歌う声と雪を踏みしめる音だけが、静かな冬晴れの空に響く。
ここは幾つもの魂が眠る場所。
…愛しい
あの人が眠る場所──…