-キミの声が聞きたくて-


「もちろん、坂井くんともね♪」


イタズラっぽく笑う雫。

“坂井くんともね♪”

え……?
陸翔と………?


“え!?”

私は口で……って言うか顔で驚いた表情をしてしまった。


すると雫がニヤニヤとしながら、
「だって、“好き”に変わりはないんでしょ?」


挑発するように笑う雫。


「……///」
コクン。

私は真っ赤になりながら頷く。


「だったら、遊ばなきゃ。好きな人とは少しでも長く、多く、一緒にいたいでしょう?」


心の内を見透かされている感じ。

雫に分からないこととかってあるのかな?

そんな風に思いながらも、真っ赤な顔で頷いた。



やっぱり、雫には適わないなぁ。






って言うか、雫には好きな人とかいないのかな……?


なんか私ばっかり恋バナしちゃったけど、雫ってあんまり自分のこと話さないよなぁ。


そんな雫にちょっぴり寂しくなりながらも、一か八かで雫に好きな人を聞くことにした。


“雫”

私は再び雫に話しかける。

「ん…?」

なぁに?とでも言わんばかりに首を傾げる雫。

もしかしたら、言ってくれないかもしれない……

だけど、雫を信じたい。

私たち、親友だもん…!!
聞いちゃえ……!!


“雫、好きな人、いる、?”


精一杯の手話で伝えると、雫の顔が一気に真っ赤になる。


こんな雫、初めてみたかも!!


そう思いながら雫の返事を待つ。






「………いる///」


俯きながら呟く雫。

話して、くれた…!!
そのことだけで私は嬉しくて舞い上がる。

「……あれ?」

突然、すっとんきょうな声を出す雫。

“……?”

雫の言葉を待っていると、

「私、美和に話してなかったっけ?」

キョトンとなる。


“私、美和に話してなかったっけ”…?


そんな一言に驚きながらも、うれしさが込み上げる。

良かった。
雫は、話そうと思っててくれたんだ。

私は思わずニヤニヤしてしまった。

すると雫が、
「なぁにニヤニヤしてんのよっ」

チョップもどきをして来た雫。
雫には言わないけど、すっごく嬉しいんだからね…?


“えへへ”

私が肩をすくめて笑うと、雫も笑った。







“誰……?”


私が尋ねると、雫は“内緒だよ…?”と言ってきた。


私が誰にバラすというのだろう。
そう言うとこ、ちょっと抜けてるんだよね。

ま、可愛いから良いけど(笑)

雫はクラスを見回すと、何人か残っているのを気にしてか、手話で話し始める。



“み…ず…の…くん”



みずのくん………
水野くん……


水野くん!?

以外。
雫、水野くんが好きなんだ。


話してくれた雫に嬉しくて嬉しくて、笑顔で答えた。


“話してくれて、ありがとう。雫、大丈夫。頑張れ”


<話してくれてありがとう。雫なら大丈夫。頑張ってね>

私なりに伝えた、私の気持ち。



「……ありがとう」

私の言葉に雫も笑顔になり、雫の笑顔に私も笑顔になる。


なんか、友達とする恋バナって良いな。




改めてそう思った。








陸翔side


今日は夏休み直前。
明日から夏休みが始まるのだ。
そして今、朝から集会中。

“夏休み”を目前にしてみんな大はしゃぎ。

“家族で旅行に行く”だの、
“恋人とデート”だの………

高校生とは思えないくらい、浮き足立っている。

普通の高校生ってこんなもんなのか?

1人疑問に思いながらも校長のひたすら長い話を聞いていた。



長かった集会も終わり、体育館から教室に戻っていると、直人が話しかけて来た。

「夏休み、一緒に遊ぼーって。長野たちが」

振り返りざまにそう言う直人。


“一緒に遊ぼー”………?

って、俺もかな……?
今では普通に話せる美和。

だけど、何となく。
何となくだけど、違和感がある。

やっぱり、気持ちを伝えてしまったせいで、俺たちの関係が少し変わってしまったみたいだった。






「それって…俺もかな??」

自分を指さしながら、直人に尋ねると

「ははは…なに言ってんだよ。長野たち、“坂井くんと水野くんと…”って言ったんだぜ?目の前にいんのは俺なのに、陸翔の方が先に名前出てきたしな」


そう言ってまた笑う直人。


美和、俺と一緒に遊びたいって思ってくれたのかな……?


「だいたい、女子2対俺1とか無理だろ(笑)」


そう言って俺の肩を何度もたたく直人。

「いてぇよ…」
俺はそうつぶやきながらも、嬉しい気持ちが大きすぎて、全然いたくなかった。


……俺も嬉しいけど、
直人も嬉しいよな、そりゃあ。


直人だって、長野と遊べるの、嬉しいよな。


早く、夏休みにならないかな。



そんな風に考えながら教室に入った。






休み時間になり、長野と直人が俺の席、もとい美和の後ろにやって来た。


「2人とも、いつならヒマ?」
長野が明るい声で俺たちに尋ねる。

「俺、基本的にいつでもヒマだよ~」

長野に笑顔をふりまく直人。
「わ、分かった…//坂井くんは?」

あれ……?
長野、顔赤くないか……?

もしかして……

「ん…?俺も基本的にいつでもヒマかな」

そう答えつつも、長野の反応をみる。

直人ばっかり、見てるよな…?


なるほどね。

1人で納得した。
頑張れ直人。


そして俺はうれしくなって長野をガン見する。





………美和が見てるとも気づかずに。








美和side

朝からの集会も終わり、教室に入ってすぐ休み時間になった。

すると、雫と水野くんがこちらにやって来た。

雫は私の横に、水野くんは陸翔の隣に立ち話し出す。


その結果、全員がほぼ毎日ヒマだって分かったんだけど………


さっきから陸翔が雫を見つめてる気がする。

ううん、絶対に見つめてる。


もしかして陸翔、雫のこと好きになっちゃったのかな……?


あり得る。

だって雫、可愛いもん。


あぁ、やだ。
友達のこと、こんな風に考えちゃうなんて……


やだ………
モヤモヤするよ………






陸翔side


今日、俺たちは集まって遊ぶんだけど……

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「みんなヒマならいっその事泊まりがいいわね!!」

「いいね!俺も賛成。バーベキューとかしたいよな」

「でも、どこか泊まるトコ……」

「あ、それなら俺んトコの別荘は?近くに海があるけど………」

「え!!すごい!!でも、いいの!?」

「うん、俺は全然構わないけど…みんなは泊まり大丈夫?」

“コクン。コクン。”

「…大丈夫…だけど」

「じゃあ、決定ね♪いつ行く?」

「明日とかは?」

「いいねいいね!!」

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ってなワケで今日、直人んトコの別荘に4人で泊まります。