「り、陸翔は……っ!?」


額には似合わないくらいの汗。
焦って来たことがすごく伝わる。

息も荒れ、両手を膝につく女性。

誰、なんだろうか。


みたことないのに、懐かしい感じ。
会ったことないのに、この安心感。


一体……

「私、陸翔の母で…“山城”翠(ヤマシロミドリ)と申します……」



陸翔の、お母さん………?

でも今、“山城”って………………
どういう、ことなの…?

陸翔の名字は、“坂井”だよね……?



目の前には先生から説明を受けて、目にたくさんの涙を溜めている女性がいる。


見れば見るほど、陸翔にそっくり。


陸翔は、何か背負っていたの………?


“忘れたい思い出も背負って生きていけば、そんな思い出に負けない自分になれるんだよ”


私に言ってくれた言葉は、陸翔自身の言葉だったの………?


頭が、混乱する。