「ね…ねぇ!

そうちゃん、聞いてる?」


「…変に動くなって言ったろ。」


(え……。)


「…相手は大人なんだぞ。
もし下手に動いてケガでもしたら…」



また初めて見るそうちゃんの顔。

寂しそうで切なそうで…

そんな顔だった。


さっきまでの恐怖が
じわじわと溶けていく。


「……。

ごめんなさい…。

でもあたし、
何もしないで見てるだけなんて…出来ないよ…」



涙がまた目に溜まっていく。


(こ…こらえろあたし…)