箱から棒を出したトーヤは、すぐに目を丸くした。


何があったのかわからないオレは、ユズハの前足をペロペロと舐める。


「……妊娠、したのか?」


静かな部屋にトーヤの声が小さく響いた瞬間、ユズハはまた体を強張らせた。


「柚葉」


トーヤに呼ばれたユズハが、ゆっくりと顔を上げる。


「妊娠したんだな?」


ユズハを真っ直ぐ見つめるトーヤに尋ねられて、ユズハは唇を噛み締めながら小さく頷いた。


「でも……やっぱり恐い……」


ユズハは、さっきと同じように震える声で呟いた。