「ただいま」


外が暗くなった頃、玄関の方でトーヤの声がした。


その瞬間、ユズハが体をビクリと強張らせた。


ユズハの中にある不安が伝わって来て、胸の辺りがギュッと締め付けられる。


オレは意を決して、トーヤを呼んだ。


「アンッ!」


トーヤ!


本当は、オレがユズハを元気付けてやりたい。


だけど…


オレじゃ無理なんだって事を、オレはよくわかっているんだ…。


だから…


「アンッ!アンアンッ、アンッ!」


オレは精一杯鳴いて、トーヤを呼んだ。