「さゆおねえちゃんはすごいよ!のん、このお話好きー!」


パイプ椅子に座り足をぷらぷらと揺らすのんちゃんは、ピンクの花柄のノートを一生懸命に小さな手に握っていた。


その大きな瞳は煌めき、穴が開くほどにノートに食い入っているのんちゃん。


私が初めて書いた童話を、彼に文字の読み方をきいては、何度も何度も読み返してる。


なのに、そんな私の夢物語を読むたびに、のんちゃんはより一層笑顔の花を咲かせていく。


まるで、この童話の中に出てくる元気いっぱいな主人公の女の子みたいに――。