……私が彼等と出会って一週間もの時が流れた。


個室に空きが出て部屋を移った私は、二人と離れられることにほっとしていたのに予想通りにことは進まない。


私が個室にいっても尚、二人はいつも遊びに来た。


他愛もない話に、強引に遊びにもまぜられた。


のんちゃんは私に懐いてしまって、こんな無愛想な私のどこがいいのか全く分からない。


そして、彼にはいつしか“さゆ”と呼ばれてた――。


家族しか呼ばないその呼び方で、彼は眩しく笑って優しい声で私を呼ぶ。


たったその二文字の名が、その笑顔と声で私の心は不思議と揺れていた。