彼の真剣な瞳は、曇りもなくて、私だけをうつしてくれた。


苦しそうに寄せた眉も、切羽詰まったようなその声も私のために向けてくれている。


だけど私には、どんな言葉をもらおうとも、もう届かない。


「私は、生まれてきたくなんか……、なかったよ――」


弱く震える言葉とともに、ゆっくり涙が頬をつたいだす。


この気持ちだけは昔からかわらない。


一度だって、生まれてきてよかったと、生きたいと思ったことはないのだ。


誰かの自由を犠牲にして生きるような私という人間は、生まれてくるべきではなかった。