流したくなんかなかったのに、右目から一筋だけ涙が零れていく。
たとえ注意されるときがあっても、私の想いだけは一番わかっていてくれた。
もう、今の気持ちは祈りにも似ている。
そんな、ともに過ごしてきたお母さんだからこそ、信じさせてほしいんだ。
心の奥では私をわかっていて――。
「そんなことどうでもいいじゃない!こんなに頑張ったって、卒後の役にはたたないんだから。そんなものより、身体が大事でしょ」
声がすぐには出なかった。
耳を塞ぎたい、記憶を消したい、嘘だと言われたい。
心が痛くて痛くて、身を裂かれる方がよっぽどよかった。