「いい加減になさい!」


大きく轟く、怒りの声。


私がその声に目を見開けば、そこには険しい形相で私を睨むお母さんがいた。


でも、そんなことで私は臆さない。


「何すんの?――返してよ!」


それよりも怒りが勝った。


許せなかった――。


私の努力をぐしゃりと引っ掴むその左手が。


私は苛立ちから強く強く睨み返す。


そうしていないと、悔し涙が出てきそうだったのだ。


醜くしわがより、無惨な姿になった努力の形を目の前に掲げられても、力のない私は指をくわえてみていることしかできない……。