だけど隣に並べられたベッドから、静かに咎めるような声がした。


ろくに最近口もきいていないのに、何故こういうことだけ言ってくるのだろう。


ふつふつと苛立ちがつのってくるのを押さえるように、私は軽く瞼を閉じる。


「迷惑はかけないからいいでしょ」


私の作られた無感情な声が、冷たく部屋に響く。


必死に想いを押さえ込みながら、私は頑なにノートを握り直した。


なのに、いつの間にか私の手からノートが消えていた。


一瞬のことでわからない。


まるで糸をするりと引き抜かれたかのようで、私の手は今もないノートを掴んだままだ。