艶のある卵形のボブヘアーをした女子が彼の脇から私ににこりと笑いかけた。


長めのカーディガンの袖口を握って口元を隠すところなんて、彼女の魂胆が見え透いている。


無駄にトーンの高い声と笑っていない瞳の奥に、私は身構えながらぎこちなく会釈した。


でも、私は少し遠巻きに見ているロングヘアーの物静かな女子の方にずっと違和感を感じるのだ。


彼女の冷たい視線が痛い。


しかし、彼は追い打ちをかけるばかりだ。


「――俺の大切な人、ってとこかな――」


能天気な彼を除いて、空気が凍る。


彼女たちの放つ空気が苦しくて、そんな言葉ちっとも嬉しくなかった。