「あっ、羽田野じゃ〜ん」


そんな時、鼻にかかったような高い声がこの重い空気を取り去った。


前方から小さな歩幅で駆け寄ってくる人影に目を凝らせば、川商の制服を着た女子二人だった。


短めのプリーツスカートも、内股にそろえられた足元も、自信に満ちた笑顔も、全てから普通の女の子らしさが溢れてる。


私は彼の背に隠れてひたすら俯いた。


この子たちとは住む世界が違いすぎて、目も合わせたくはない。


「あれ〜、その子は?こんにちは」


なのに、そう思ったそばから、ぱっちりと強調された瞳に覗き込まれてしまったのだ。