でも、我儘と言われてもいい。


胸が悔しさでいっぱいなんだ。


「自由な身体があるのに、諦めるなんて贅沢だよ――。逃げないでよ」


私は本音を全て吐き出して、悔しさに奥歯をぎゅっと噛み締めた。


目尻が微かに濡れていく。


目を決して合わせず黙り込む彼を見ているだけで、胸がずきずきと痛みだす。


だけど、五体満足な身体があるのに、逃げてほしくなかった。


私はどんなに願っても、この身体が自由になることはないのだから。


だから、そんな幸せな身体に生まれたのなら、大事に生きるべきだ。