やっと絞り出したような切羽詰まった声も、肩に伝わる指先にまでこめられた強い力も、痛いくらいに私を包んでくれてる。


何で涙を流すの……、私なんかのために。


「確かに俺には、さゆの苦しさ、知らないとこもあると思う。でも、だったらこれから知っていく。さゆを全部引っ括めて好きだから」


耳元で彼が必死に言葉を紡ぐ。


そんな言葉にあつくなる胸が痛くて、堪えるように彼の広い肩に顔を埋めた。


お願いだから、優しくしないで……。


近すぎる彼の鼓動と体温に余計に涙が溢れる。


心が後戻りできなくなる――。


「俺には、さゆが必要なんだよ。だから、傍にいたい――」