その刹那、彼が大声で叫んだ。
「俺はさゆが好きだ――。ずっとずっと好きだった」
風が止む――。
今までに聞いたことなんてない。
真っ直ぐで、澄み切って、こんなにも美しい響きを持った私には綺麗すぎる言葉。
「さゆは、誰より一生懸命生きて、頑張ってる。俺は、そんなさゆの隣にいたい」
胸が壊れそうに痛い。
息をするのも苦しいほどに、彼の綺麗な言葉が私の胸を押し潰す。
こんな痛み、彼に会わなければ味会わなくてすんだのに。
色づいた世界が、醜く滲んで歪む。
もう、やめて――。
歪んだ視界に瞼をぎゅっとおろした瞬間、私の中で何かが切れた。