なのに、何で解放してはくれないの……。
「俺のこと、嫌い?嫌いなら、もう関わらない」
迷いのない言葉が胸を深く深く突き刺した。
どこまで彼は、私を苦しくするの――。
“嫌い”そのたった三文字を告げれば、終われる。
私は必死に唇を動かそうとした。
だけど、何もかもいうことを聞かない――。
震えが止まらない唇も、声を紡げないくらい押し潰された喉も、締め付けられる胸も。
言おうとすればするほど酷くなる。
“嫌い”と言えないこの唇が憎らしくて、痛いくらいに唇を噛み締めた。
私はこんなことも言えない弱い人間じゃなかったはずなのに……。