「まぁそんな事はいいんです。貴方、佐伯…………えーっと、リュウジ、さん」

「あ、スイマセン。それ、隆司って書いて『タカシ』なんですよ」



……。





「ごめんなさい。タカシさん、なのね」


どこからか突然取り出した赤ペンで、持っていた紙にメモを始める謎の女。



……あ、なんか気まずい沈黙。




「……あのー、そういうのって、普通名前くらい知ってて来るモンなんじゃないんすか?」

「えぇ。でもこの書類、振り仮名ないんです」



こんだけ非現実的な登場しといて、書類……

何だか一気にコイツが身近に感じられてしまったじゃないか。