「ママー、ママー、助けてー!」

真っ赤な炎の中。
幼い私は泣き叫ぶ。
「紗江ー!」
叫ぶ母の声。
真っ赤な炎の中、薄っすら見える、消防士と母。
もがいて、私を助けよとする母。
それを止める消防士。
目の前が白くなる。
そんな中、こちらにくる、黒い影。
「紗江っ…」
母は私を抱きかかえ、走った。
母は転んだか…私に、光の方を指差した。
私は炎の中、無我夢中で走った。
今思えば、母を殺した悪人。
火が消えたあと、誰だか分からない死体が発見され、母だと分かった。


私はタダの人殺し。

幸せになる事を考えてはいけない。
罪人…。