「ほら。教室行くぞ。」

そいつは私の腕を掴むと
強引に引っ張った。

「やめてよ」

私はそいつの腕を
振り払うと
またしゃがみこんだ。


「あたしは…まだ行かないから。先行けば」


そして顔を伏せた。


すると足音が私の真横でどまり、なにかがしゃがみこむ音がした。


顔をあげると
さっきの奴が隣で
私とまったく同じ格好で
しゃがみこんでいた。


「俺もいる。まだ行かない。」

つくづくうざい。


私は軽くそいつを睨むと

「勝手にすれば。」

とだけ言って
また顔を伏せた。