遅刻を避けたい私は
奏の邪魔にならない程度に
急いだ。


奏の横を通ることは
さすがにまだできない。


遅刻しそうな時間なのに
奏はなんで急がないんだろう?


疑問に思いながらも
急いだ。


今日はクラス替えだから
みんな登校が早い。


私達のまわりには
人が2、3人しかいなかった。


それでも、みんな小走りだからすぐに2人になってしまう。


そんな状況でさえ
私は2人きりになれたことを
どこかで喜んでいた。


馬鹿な私。


もう3年生しっかりしなきゃ。

靴箱でクラスを確認する。
遅刻しそうなのに
なかなか見つからず
イライラする。

奏が横目に見える。

少し嬉しかった。


奏は早々と自分のクラスを
見つけると
靴を履き替えて
階段をのぼっていった。


私も急がなきゃ…


1組……2組………3組。


3組に加藤芽衣の文字が。


そして
無意識に奏の名前を探す。


どこにも見当たらない
奏の名前。

奏とはまた
クラスが離れた。


もう奏との共通点は
一つも……ない。