そう思った時。
「おい、俺がいる事忘れないでくれる?」
その声を聞いて蓮の動きが止まった。
それから顔はその声のする方へ。
…楓だっ!
「兄貴さ、がっつきすぎじゃね?」
「…」
「何かみっともねーんだけど笑」
…あ、ヤバイ。
蓮の目付きが変わった。
そう思った瞬間聞こえた楓の声。
「…おい、離せよクソ兄貴。」
見ると胸ぐらを掴んでいる蓮。
「おいっ、蓮!!やめーーー」
「お前見てーな奴がいっからあーでもしねーとダメなんだわ。」
「逃げてくんだ。」
「はっ?」
「あーでもしねーと晴は兄貴から逃げて行くんだ。
…それってさ、晴を独占してるだけじゃねーの?」
なんだこの空気…。
今まで感じた事の無いくらいピリピリしてるぞ。
「ぁっ、ぐっ…!!!」
急に聞こえたうめき声。
まさかっーーー…!!
「楓っ!!!!」
慌てて声のした方を見ると、かなりきつく胸ぐらを掴まれている楓。
だめだ…
「蓮…」
「…」
「蓮っ…」
「…」
「おい、蓮っ!!!!楓を離せよっ!!じゃねーとしんじまうっ…!」
「…いーぜ」
「…へ?」
「別にいーぜ、離しても。」
そういうとあっさりと手を離した蓮。
楓はケホケホと咳き込んでいる。
「楓、大丈夫ーーー」
楓の元へ行こうとすると、蓮に正面から抱きしめられた。
「れ、蓮…?」
何かはずい。
「晴っ…」
「ーーっ!!んっ…」
耳元でいつもより甘い声で小さく囁いてくる。
「ど…した…?」
「俺の事…好きか?」
「え?」
慌てて顔を覗き込むと…
不安気な表情をしている蓮の顔。