「え、あ、はい、蓮が…」
何故だか蓮と言う言葉にやたらと反応を見せた目の前の人。
何かまずかったのかな?
「お前さ、兄貴のこと呼び捨てで呼んでんの?」
「あ、はい!」
「…」
「…」
…ん?
ちょっと待てよ。
今あまりにも自然過ぎて危うく流しそうになったけどーーー
「兄貴ぃ?!」
「あ?蓮は俺の兄貴だけど?」
「って事はあんたはーーー」
「弟の楓(かえで)。因みに16。」
「同い年ぃ?!」
ぜ、全然知らなかった。
蓮に弟が居るなんてっ!!
蓮の弟と理解した上でもう一度楓さんを見てみる。
俺と同い年とは思えない程のスタイル。
脚、長過ぎじゃね?
髪の毛は蓮の柔らかい茶色とは真逆、綺麗な黒髪で短髪。
「…もう観察は良いか?」
「ーーー!!!あっ、はい…」
咄嗟に顔をあげると、思ったよりもかなり近くにある楓さんの顔。
「あの…楓さん?」
「ん?」
「この距離は一体…」
俺の言った言葉を完全に無視して、変わらずの近い距離でマジマジと俺を見つめる楓さん。
「楓さーーー」
「お前が兄貴のお気に入りかぁ。」
「へ?」
「あ、呼び捨てタメ語で良いぜ?別に同い年だし。」
「あ、うん…てか、お気に入りって?」
「あぁ、相当可愛がられてんだなって事。」
「…可愛がってたらこんな格好させねーと思うんですけどぉ…」
「え、その格好だから余計、だろ?!」
「はぁあ?!こんなのイジメだっ!!イジメ以外の何物でもねーっ!!」
瞳を潤ませて楓に抗議する。
俺男だぞ?!
なのにこんな格好…ほんと最悪だ泣
「兄貴なりの愛情表現だって。それよりさ…」
先程までとは少し違う雰囲気で微笑んだ楓。
何か蓮がドSになる時の雰囲気と似てる…?
「ぁ…何?」
答えるとパシリと掴まれた手首。
「うっわ、想像してたよりかなりほそっ?!
お前さ…て、あー、名前何だっけ?」
「あ、俺、朝霧晴。」
「晴か。晴、お前兄貴から逃げてんだろ?」
「うん。」
「俺の部屋来いよ。」
そう言うとズカズカと歩き出す。
…蓮と似てないと思ったけど、俺の話を聞かないとこは兄弟揃ってそっくりじゃねーかぁああ!!!