生徒会室にとどまる事約30分。

現在の時刻は11時をさしている。


「よしっ。そろそろ行くか。」

蓮が座っていたソファーから立ち上がる。

「あ、うん!」

蓮の出してくれた甘いカフェオレを一気に飲み干し、空になったコップを机に置く。

「それ、美味かったか?」


「うんっ!!めちゃくちゃ美味かった!!!」


その答えに満足そうに笑う蓮。


『俺、こいつの笑顔好きなのかも…』

本気でそう思った。

この笑顔を見ると、こいつのした事、何でも許してしまいそうになる。


本当はもう、気付いていた。


出会って数時間しかたってない男に、俺はひかれている事を。


『でも、悔しいからぜって認めねーぞっ!!』


ブンブンと首を横に振る。


「何してんだ?行くぞ。」


おかしな行動をしている俺を少し不思議そうな目で見ながら、自然に手を差し出してくる。


「……この手、何」


「そんなのお前が一番良く分かってんだろ?」

クイクイッと手を動かす。


あーっ、もうっ!!

「分かってるよ!!」


分かってたけど一応聞いてみた俺が馬鹿でしたっ!!

「こーすりゃいーんだろっ、こーすりゃ!!」


ギュッと手を繋ぐ。


「良くできましたっ。」


蓮に頭を軽く撫でられる。


「そんなの全然嬉しくねーかんなっ!!」


「ハイハイ(笑)」


俺は一体、どれだけこの男にひかれているんだ?


“頭を撫でられる。”


たったこれだけの事で、俺の心臓は激しく動き出すんだ―――。