さっき??


…あぁ、蓮の事か。


「んなの当たり前だっ」

ポンポンと頭を撫でると、龍也はかなり驚いた様子で俺から離れた。

「え、龍ーーー」
「当たり前じゃねーよ…」

「…何で?だってあーでも言って蓮にヤキモチ妬かせなきゃ意味ねーじゃん…」

「ーーーっ…これだから天然無自覚はっ…」

「何か言ったか??」

「いや、何も。」

それからクスッと笑ってから「まぁ良いか」っと言って
再び俺を強く抱き締めた龍也。

それと同時に授業開始のチャイムが鳴る。


「…龍也、戻ろ?」

「おぅ。」



どちらからともなく歩き出した俺たちだが、
暫く歩いてから俺は少し立ち止まる。。

「ん?晴どぉしたんだっ?」

急に立ち止まった俺を心配そうに見つめる龍也。



「あ、お、俺、トイレ行ってから行くわ!
先教室もどっといて!!」

「了解!」

それだけ言ってダッシュでトイレへと向かう。


『あー、確か次の角を右っ』

その角を曲がろうとした時ーーーー



グイッと誰かに手首を掴まれた。


「へ?」

その勢いで俺の体は後ろへと倒れて行く。


『やべえっ!倒れる!!』


と、思った俺への衝撃は、硬い床ではなく
柔らかいものだった。