【蓮side】
今俺の頭を嬉しそうにワシャワシャと撫でている俺の恋人。
こんな事、お前じゃなきゃさせてやんねーんだぞ?
コイツはその事が分かってんのか…?
本当はめちゃくちゃ苛めてやろうと思っていた。
記憶が戻っていたのに嘘をついていた事と(まぁ大方俺に何かされそうで怖くて嘘ついてたんだろうけど)、
俺の記憶だけ無くした事。
記憶喪失ってものは1番大切な人ほど忘れてしまう、なんて事があるらしいから、そう考えると俺の記憶が無くなったってのも嬉しく感じていた。
実際記憶喪失中の晴にもそう告げた訳なんだけど。
でもそんなのも初めのうちだけで。
晴の頭の中に俺の事が無いなんて状況に段々とイラついてきて。
そんな時に晴が俺の部屋に来てた訳で。
(…で、今のこの状況なんだよなぁ〜)
結局は先に惚れた方が負けなんだ。
この笑顔見てると、何でも許してしまう。
「俺も甘いよな〜…」
「ん?蓮なんか言った??」
小さく漏らした俺の呟きに反応する晴。
可愛い顔で俺の顔を覗き込んで来るコイツを見てると、やっぱり少し苛めてやりたい気持ちが出て来る。
晴の頭を引き寄せて、クチュッ…と深いキスをする。
ゆっくりと唇を離すと、案の定真っ赤になった晴が居た。
「な、な、何すんだ馬鹿っ!!!」
必死に急いで俺の側から距離をとった晴を見て思わず笑ってしまう。
キスだけで許してやったんだ。
「有難く思えよ?」
【蓮side END】