俺の驚いた声に驚いたのか、そいつは少し目丸くした。
だけどそいつが驚いたのは俺の驚いた声じゃなくて…
「もしかしてお前、自分の綺麗さに気付いてねーのっ!?」
俺が自分の綺麗さに気付いていないという意味不明な事に驚いたらしい。
「あの、ごめん。あんたの言ってる事良くわかんねーやっ…」
これは率直に今思った事。
そしてその言葉にまた驚いている。
「つか、名前聞いていい?」
名前わかんねーと色々とめんどくせーし。
「あぁ、わりぃ!俺西島 龍也(ニシジマ タツヤ)。宜しく!!」
「宜しく…龍也で良い?俺は…って、あんたもう俺の名前知ってんだよな。俺の事は晴で良いけど…何で知ってんの?」
ずっと疑問に思ってた事。
「龍也で良いぞー。入学式ん時、名前呼ばれてた!」
あー、成る程(泣)
入学式ですか。
「じゃあ今度は逆に俺が質問。晴、本当にお前、自分の美しさに気付いてねーの?」
「あ゛?気付く訳ねーだろ。俺は普通だ。」
嘘でも何でもなく、本当にそう思う。
「だって教室中の男が、既にお前狙ってんよ?」
「なっ――――!!!!!」
突然聞かされた衝撃の事実。
「けど俺、今来たばっか…」
「入試の時から狙われてる。」
「………あの、だから俺男…」
「ここ男子校だし、女っぽい奴は人気あんだよ。」
「だから普通…」
「まぁ、気をつけろよー。しかも蓮様にタメ語を使う奴と来たらそりゃあ狙うわなー。」
ん?
蓮?
「何で蓮が…」
「だってそんだけ蓮様がお前の事気に入ってるって事だろぉ?蓮様も夢中になる姫に皆も夢中になる訳に決まってんよ。」
「ちょっと待て。話が掴めない。」