「それに」

キスの余韻に浸っていた俺の顔をマジマジと見つめながら言葉を発した海原さん。

「記憶喪失っつーのは1番大事な人程忘れやすいって言うからな。
俺だけを忘れたって事は、つまりはそーゆう事だろ?何か…」

「?」

「複雑な気持ちだなっ」

儚く笑う海原さん。
何だよこの人。
さっきから俺の心臓乱すような顔ばっかしてさーー…。

「俺、大事な人なら絶対忘れませんし」
「は?」

うぁっ、しまったーー!!!
何かこの人に主導権握られっぱなしで悔しくてついうっかり悪態ついちまった…!

「そーゆーとこは変わってねーんだな、晴君」

うぉぉおこぇえ!!
目がっ!目が笑ってないですよ海原さん!!!

「お前は俺を煽るのがほんっと上手いねぇー…」