彼の言い分をまとめると、つまりこういう事だ。


箇条書きにしてやると、

・慣れないアメリカ生活で、随分苦労している。
・その為、精神的に病んでいる。
・勉強の追いつけなさを苦にしている。
・やりたいギターも、まともに出来る時間、場所が無い。
・エーコに会いたくても、会うことが出来ない寂しさ。



以上、全てが重なって、自分の重荷になっているというのだ。

重荷が重荷を背負い、耐え切れなくなったケータは、
どれか一つでも、悩みの種を捨てたかった。


それがあの中で、一番てっとり早い、彼女のあたしだった。





あたしが消えれば、


彼は楽になるという。





愛は、仇となって返ってきた。







さよならを告げた。






あんなに、愛を信じあったはずの彼が、

海の向こう側のパソコンに向かって、

無機質な音を立てながら、簡易な言葉で。




「一回り大きくなって帰ってくる。エーコだから言えるんだ。」






そんな事を、熱く語って、あたしを勇気づけた言葉は、
泡となり、昇っていった。