きっとこれは、より良い夜景への感動を増す為の演出だろう。

あたしは目をしっかり閉じた。

「オッケーだよ〜。現在暗闇しか見えませ〜ん」

あたしは動悸が速くなるのを感じた。

興奮して目に力を入れすぎてしまった程。

お陰で、目の回りの筋肉を使い過ぎて疲れを感じる。


「よし、到着!」

車が停止したのがわかる。

あたしは変わらず暗闇の世界。

「え!目開けていい?」

「まだまだま〜だ!閉じたまま!」

ケータが車から降りてドアをしめた。

「あたしはどうしたらいいの?」

ケータが助手席のドアを開け、あたしの手を取り車からおろした。

「少し歩くからね。俺が手を引くから大丈夫!」

ケータはゆっくり歩き始めた。

いくらケータが手をひいてくれても、やはり山道を目を閉じたまま歩くのは怖い。

「えっ、怖い!無理、大丈夫なの!?」

あたしは足で道を探りながらゆっくり歩く。

「大丈夫だって!ちゃんと誘導するから。」

ケータを信じ、言われるままに歩いてく。


そして、ケータは止まった。

「さぁ、目を開けて!」


あたしは、きつく閉じた目をゆっくりと開けた…