「ありがとう…マジそんな風に言ってもらえて俺嬉しいよ。ギター弾いただけでこんなに感激してくれる子なんて居ないよ。ありがとうエーコちゃん。」

ケータは恥ずかしそうに目線をギターに向けながら話した。

「ウソー!ギター聴いて感動する子なんて沢山居るって!」

「それがさ、居ないよ?今まで付き合った彼女だって、俺がギター弾き始めると、つまらなさそうにするんだ。『あたし暇なんだけど』て感じで。みんなそうだったよ」

ギタリスト狂のあたしとしては、驚きを隠せない。

「え~ありえない!あたしなら、彼氏がギター弾くなら喜んで聴くのに!ってか、自慢の彼氏じゃん!あたしはずっと『彼氏にしたいタイプは?』って話になると決まって、『ギタリスト!!』って答えてたよ。なのに一度もギター弾く人と付き合ったこと無い…」



何故かあたしはギタリストとは縁が無いらしい。


「そうなんだ。エーコちゃんみたいな子に限って無縁だったんだ。逆に俺が付き合ってきた子は、みんなギターに興味ない子ばっかり。」

世の中とはそういうもんなんだろうか。

「エーコちゃんの彼氏、音楽は好きなんだよね?」

ケータは、ギターをいじりながら問い掛けてきた。

「そうだね~音楽は好きだよ。だけど全然音楽の話しで盛り上がれないの」



そう。あたしにはこの時、彼氏が居た。