あたしは、さっさとレジ閉めをし、事務所へ行き入金を済ませ、警備員に「今から残業なんでまた店へ戻ります」と告げ、鍵を持ってまた店へ戻ってきた。


5分程したら、ドアを叩く音がした。

ドアまで行くと、ケータが左手にギターを、右手に袋を持って笑顔で立っていた。
そして、横にはでかいアンプが置いてあった。


「スゴイ!!!!本格的じゃん!!」
店に入るケータを見て、あたしは興奮した。


ハードケースに入ってるギターは、とても高級に見えた。
エレキギター。彼の愛用ストラトキャスター。
色は、品のあるサンバースト。


コンセントを差し、アンプの電源を入れる。(ちなみにマーシャル)
ギターに繋ぎ、スイッチ入れると、ビーンっと音が唸る。

ライブに足を運んでは、迸る熱気の中、爆音に埋もれる事は毎度のことだが、
こうして目の前で演奏してもらえるのは初めてで、一人のギタリストを独占出来ることに感動した。


「何弾いて欲しい?」

その、憧れの台詞に、あたしは泣きそうになったぐらいだ。